役員のなり手が見つからない場合にはどうしたら良い?

こんにちは、マンション管理士の永井です。今回は、マンション管理組合でよく耳にする「役員不足問題」についてお話ししようと思います。皆さんのマンションでも、役員が足りないという悩みはありませんか? それでは、具体的な解決方法を見ていきましょう。

役員不足問題の背景

役員不足問題には、いくつかの背景があります。若い世代は仕事や家庭で忙しいため、役員になる時間がないことが一つの原因です。また、高齢化が進む中で、年齢的な理由から役員業務が難しいケースも増えています。さらに、役員がボランティアであるため、管理の重要性に対する理解や意識が低いと、積極的に関わることが難しいのです。

役員不足問題の解決策1:資格要件の緩和

役員不足問題を解決するためには、まず役員の資格要件を緩和することが効果的です。国土交通省が作成・公表した「マンション標準管理規約」では、外部に居住している区分所有者でも役員になれるように改正されています。これにより、役員に立候補しやすくなり、役員の候補者が増えることが期待できます。

また、役員の定数を減らすことで、任期が長くなり、理事会の出席定数が下がって流会のリスクも減ります。

役員不足問題の解決策2:報酬制度の導入

役員はボランティアですが、マンション全体のためにプライベートの時間を割いて活動していることを考慮すると、報酬制度の導入も一つの解決策です。また、輪番制で辞退する区分所有者から、協力金を徴収する方法もあります。

役員不足問題の解決策3:住民間の交流促進

住民同士の交流を深めることも、役員不足問題の解決に繋がります。避難訓練や季節ごとのイベントを開催することで、住民同士が交流し、管理組合への関心が高まります。顔見知りになることで、役員に立候補するハードルが下がることも期待できます。共有スペースを設置したり、SNSを活用したり、地域の出来事について情報を共有することも、住民同士の交流を促す効果があります。

役員不足問題の解決策4:業務のアウトソーシング

役員業務を私たちマンション管理士に委託することも、役員不足問題の解決策の一つです。これにより、役員の負担を軽減し、役員不足のリスクを回避できます。ただし、業務委託にはコストがかかるため、管理組合全体でコストとリスクを慎重に評価する必要があります。

理事長のアウトソーシングのメリット・デメリット

理事長を外部の専門家にアウトソーシングする場合、以下のメリットとデメリットが考えられます。

【メリット】

  1. 専門知識や経験を持つ人材が担当することで、管理組合の業務が効率的に遂行される可能性が高まります。
  2. 専門家によるアドバイスで、管理組合が問題を的確に把握し、解決策を導き出すことができます。
  3. 役員によるトラブルや問題の発生リスクが低くなります。
  4. 専門家が責任を持って業務を遂行することで、役員の負担を軽減できます。

【デメリット】

  1. 外部の専門家に業務を任せるため、管理組合の自治が損なわれる可能性があります。
  2. 専門家の報酬が発生することで、管理組合の経費が増加する可能性があります。
  3. 外部の専門家と役員との間に意見の不一致が生じる可能性があります。

アウトソーシングを利用する場合でも、適切な契約やコミュニケーションを行い、管理組合の自治を確保することが重要です。

まとめ

役員不足問題に対処するためには、資格要件の緩和、定数の減少、報酬制度の導入、住民間の交流促進、業務のアウトソーシングなど、様々な解決策を検討することが重要です。管理組合全体で問題に取り組むことが求められます。また、役員不足はマンションの全体的な管理に影響を与える問題であり、管理の質が低下するとトラブルが発生するリスクが高まります。

役員不足問題を早期に対策し、マンションの円滑な管理を維持することが大切です。各管理組合は、自身の状況に応じた解決策を検討し、役員不足問題に積極的に取り組むことが求められます。

これで、本記事の内容は以上です。役員不足問題に悩む管理組合の皆様が、本記事を参考にして問題解決に役立てていただければ幸いです。マンション管理士の永井が、皆様のマンション生活がより快適で安心できるものとなるよう、これからも情報発信を続けて参ります。どうぞよろしくお願いいたします。

投稿者プロフィール

永井和也
永井和也
半導体の商社、キャンプ場での住み込み勤務など様々な仕事を経験後、マンション管理士資格を取得。大手マンション管理会社に就職の後、マンション管理士事務所設立のため退職。
現在は、マンション管理組合向けコンサル業に携わる傍ら、管理組合向けの情報サイト「マンション管理の教科書」を運営。